同一月に、同一病院に支払う医療費が一定の自己負担限度額を超えた場合、健康保険から「高額療養費」が支給されます。
詳細については協会けんぽなどのHPを見ていただくとして、高額療養費は比較的よく知られている制度かと思います。
ただ、高額療養費制度のうち、「世帯合算」という制度があることはあまり知られていなのではないでしょうか。
○世帯合算とは?
健康保険証の記号番号が同じである被保険者とその被扶養者について、同一月に、同一の医療機関での自己負担額が21,000円以上となった場合、それぞれ合算して自己負担限度を超えた額が支払われる制度。
例えば、自己負担限度額が80,100円で、夫が月5万円、被扶養配偶者の妻が月5万円を病院に支払った場合、それぞれの5万円では自己負担限度額超えず高額療養費の対象となりませんが、合算すると10万円となり、19,900円が高額療養費として支給されます。
なお、同一の医療機関であっても、入院と外来は別に、外来は診療科別にそれぞれ計算して、21,000円以上となったものが合算対象となります。
また、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000円以上になる場合も合算対象となります。
(※健康保険組合加入の方は、組合独自の「付加給付」がある場合がありますので、ご確認ください)
○70歳未満の世帯で合算できる例
(70歳以上では、異なる自己負担限度額が設定されています)
被保険者A(区分は一般の世帯)、被扶養者B(妻)、C(子)、D(子)
①Aさんが○○病院で12月中に入院 自己負担額70,000円支払い、△病院でも12月に50,000円支払った。
→それぞれでは自己負担限度額を超えませんが、21,000円を超えているので世帯合算することができます。
②Bさんが△△病院で12月中に入院 自己負担額30,000円(合算可○)
→入院で1ヵ月に21,000円以上となっておりますので、世帯合算の対象になります。
③Cさんが□□病院で12月中に4回外来 自己負担額合計45,000円
【内訳】整形外科受診3回 10,000円×3回=30,000円(合算可○)
内科受診1回 15,000円(合算不可×)
→外来ですが、1回の受診毎の金額では21,000円に達していません。しかし、整形外科受診分については、同一診療科における自己負担額の合計が30,000円ですので、21,000円以上となっており世帯合算の対象になります。
内科受診分においては、内科のみで21,000円に達していないため世帯合算の対象となりません。
④Dさんが××病院で12月中に5回外来 自己負担額合計39,000円
【内訳】内科受診1回 9,000円、調剤15,000円 合計24,000円(合算可○)
歯科受診3回 3,000円×3回=9,000円(合算不可×)
耳鼻科受診1回 6,000円(合算不可×)
→外来ですので、③と同様に診療科ごとで判断します。内科受診分については、外来だけでは21,000円に達していませんが、同じ内科で処方された調剤分も合算することができますので、金額を合計すると21,000円以上になり、世帯合算の対象になります。
歯科や耳鼻科は21,000円に達していないため世帯合算の対象となりません。
単独では高額療養費に該当していなくても、それぞれを世帯合算すると自己負担限度額を超え、医療費が払い戻されるケースがあります。
家族の入院や通院が重なり1ヵ月の医療費(自己負担額)が高くなった場合は、「世帯合算」に該当しないか確認しましょう。
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