カテゴリー「 労働安全衛生法」の記事

改正労働安全衛生法案

改正労働安全衛生法案が閣議決定され、国会に提出されました。
主な改正案は以下の通りです。

●ストレスチェック制度の創設(メンタルヘルス)

従業員50人以上の事業場について、1年に1回、すべての従業員にストレス検査を実施し、希望者は医師の面接指導を受けられます。

●重大な労災事故を繰り返す企業への対応(企業名公表)

重大な労災事故を繰り返す企業に対して、厚労大臣が改善計画を作成させ、改善を図らせる仕組みを創設します。
なお計画作成指示等に従わない企業に対しては大臣が勧告し、それにも従わない企業については企業名を公表します。

●受動喫煙対策

前回の改正案からの案件ですが、努力義務へ修正されました。

改正案の詳細はこちら(厚労省資料)

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職場でのメンタルヘルス不調者が大幅増加

 厚生労働省が「平成22年労働安全衛生基本調査」(従業員10名以上の全国8,742事業所と、その事業所に勤務する労働者11,557人が回答)の結果を発表しました。

 メンタルヘルス上の理由により連続1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は5.9%で、前回調査(5年前)の2.6%から大幅に増えたことがわかりました。

 退職した労働者がいる事業所の割合(新規調査項目)は2.8%となっており、いずれかがいる事業所の割合は7.3%となっています。

 また、連続1か月以上休業し、その後、職場復帰した労働者がいる事業所のうち、職場復帰に関するルールの有無については「職場のルールはなく、その都度相談している」が56.7%と最も多くなっています。

調査の詳細は下記の資料をご覧ください。

平成22年労働安全衛生基本調査 結果の概要

 先が見えない厳しい時代です。
企業は生き残るために、社員に対して厳しい要求をせざるを得ない場合もあります。
残念ながら、今後もメンタル不調者は増えると思われます。

 しかし、厳しい時代だから仕方ないとその状況を放置していたら、組織全体の元気が無くなり、結局は業績悪化に繋がるでしょう。

 メンタルヘルス対策は難しい問題でもありますが、企業が厳しい時代を生き残るためには、避けては通れない問題です。

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電離放射線障害防止規則

福島第一原発の事故は、事態の収束に長期間を要する見込みとなってきました。

放射線による体や環境への影響が大変心配されます。

原発事故により恐れられている放射線ですが、レントゲンやCTスキャンなど、放射線を日常で使用することもあります。

放射線を取り扱う業務に従事する労働者は、微量ながら放射線を浴びることになります。

その様な労働者を保護するために、労働安全衛生法に基づき電離放射線障害防止規則が定められています。

内容を少し見てみると、56条には健康診断についての規定があります。

第五十六条  事業者は、放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

一  被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、
    自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価
  二  白血球数及び白血球百分率の検査
  三  赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
  四  白内障に関する眼の検査
  五  皮膚の検査

放射線業務に従事する労働者には、半年毎に、特殊な健康診断を実施しなくてはなりません。

また、上記健康診断の結果は30年保存する必要があります。

第7条には緊急時の被曝限度について定められています。

第七条  事業者は、第四十二条第一項各号のいずれかに該当する事故が発生し、同項の区域が生じた場合における放射線による労働者の健康障害を防止するための応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行うときは、当該緊急作業に従事する男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については、第四条第一項及び第五条の規定にかかわらず、これらの規定に規定する限度を超えて放射線を受けさせることができる。

 前項の場合において、当該緊急作業に従事する間に受ける線量は、次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
  一  実効線量については、百ミリシーベルト
  二  眼の水晶体に受ける等価線量については、三百ミリシーベルト
  三  皮膚に受ける等価線量については、一シーベルト

福島第一原発事故は、まさにこの緊急時に当たりますが、今回の事故に限って被曝限度が100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに上げられています。

通常時における放射線業務従事者の被曝限度は第4~6条に定められています。

第四条  事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量が五年間につき百ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間につき五十ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
  事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第六条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、三月間につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

(放射線業務従事者の被ばく限度)
第五条  事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては一年間につき百五十ミリシーベルト、皮膚に受けるものについては一年間につき五百ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない。

第六条  事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(以下「妊娠中」という。)につき次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
  一  内部被ばくによる実効線量については、一ミリシーベルト
  二  腹部表面に受ける等価線量については、二ミリシーベルト

つまり、被曝限度量は、通常の労働者>妊娠する可能性のある女性>妊婦ということになります。
(この規則は労働者が対象なので、当然子どもは含んでいませんが、乳児や小さい子どもの被曝限度量が低いことは言うまでもありません)

なお、この被曝限度は、上記の健康診断など厳格な管理をしている労働者が対象です。

一般公衆の被曝限度は、自然からの被曝を除き年間1ミリシーベルトとされています。

現在、各地で放射線量が測定され、数値が公表されていますが、注意しなくてはならないのは、公表されている数値は1時間当たりの放射線量です。

1時間当たりの数値は低いので「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」というのは、間違いではないと思います。

しかし、上記規則にもあるように、被曝限度量は3ヶ月とか1年間の積算被曝量で考えられています。

例えば1時間当たりの放射線量が1マイクロシーベルトで、1年間継続した場合は、

1マイクロシーベルト=0.001ミリシーベルト

0.001×24時間×365日=8.76ミリシーベルト

ということになります。

4月2日現在、福島市は2.53マイクロシーベルトです。

仮にこの数値が1年間続いた場合は、福島市は大幅に超えることになります。

福島県の数値を見ると、避難区域だけでなく、避難区域以外も心配ですが、放射線量は減少傾向にありますし、常に屋外にいる人も少ないと思いますので、現在のところは避難区域以外は大丈夫という判断なのでしょう。

また、年間1ミリシーベルトを超えたからといって、必ず健康被害が出るわけではないでしょう。

しかし、通常時より高い数値であることは間違いなく、事故処理も長期化しそうなので、今後は積算放射線量にも注意を払う必要があると思います。

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職場の喫煙対策

10月から大幅に値上げされたたばこ。
これを機に禁煙される方も多いのではないでしょうか。

たばこは自分の健康だけでなく、副流煙による「受動喫煙」で他人の健康も脅かします。

9月28日の厚労省研究班の発表によると、受動喫煙により国内で少なくとも年間約6800人が死亡しており、そのうち職場での受動喫煙が原因で死亡した人は約3600人だそうです。

受動喫煙との因果関係がはっきりしている肺がんと虚血性心疾患の死者だけを対象にしており、実際にはもっと多い可能性があるとのこと。

ですから、従業員の健康を守るためにも、職場での喫煙対策が求められます。

職場での喫煙対策は「職場における喫煙対策のためのガイドライン」というのがあるのをご存知でしょうか。

ガイドラインのポイントは以下の通りです

○経営首脳者の指導の下、喫煙対策を推進し、喫煙対策の担当部署・担当者を決め、喫煙対策委員会の運営や喫煙対策に関する相談、苦情処理などの事務を掌握させる

○独立した喫煙室の設置を推奨 

○たばこの煙を屋外に排気する方式の喫煙対策を推奨 

○空気清浄機はガス状成分の除去が不十分であるため、使用する際は換気に配慮 非喫煙場所から喫煙場所へ一定の空気の流れ(0.2/s)を確保(非喫煙場所にたばこの煙やにおいが漏れないようにするため)

○事業者は、管理者や労働者に対し、喫煙に関する教育や相談を行う 

○妊婦及び呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者へ配慮を行う 

○喫煙対策の周知(禁煙場所の表示、ポスターの掲示等)を行う 

○受動喫煙による健康への影響、喫煙対策事例等の情報を収集し、提供する

現在はさすがに分煙もされていないという職場は少なくなってきましたが、職場内で喫煙できる職場も依然としてあります。

職場の喫煙対策は事業主のリーダシップが大事で、未だに職場内で喫煙できる職場は、事業主が愛煙家である場合が多いですね(笑)

愛煙家の社長さんは耳が痛い話かと思いますが、職場での受動喫煙が原因で健康を損なったとなれば、企業の安全配慮義務違反をを問われ、多額の賠償金を支払うことになるかもしれません。

まだ喫煙対策を何もしていない職場は、たとえ喫煙者が多い職場であっても、そろそろ覚悟を決めて取り組むべき問題でしょう。
何らかの喫煙対策をしている職場でも、ガイドラインを参考に、自社の喫煙対策が適切なのかチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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職場におけるメンタルヘルス対策検討会・報告書

自殺者が、平成10年以降12年連続して3万人を超えており、政府の新成長戦略でも2020年までの目標として、「メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合100%」が掲げられています。

今年5月に厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」の報告を受け設けられた「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」の報告書が先日公表されました。

報告書のポイントは以下の通りです。

<報告書のポイント>
1.一般定期健康診断に併せ、ストレスに関連する労働者の症状・不調を医師が確認する。
2.面接が必要とされた労働者は産業医等と面接を行う。その際は、上記ストレスに関連する症状や不調の状況、面接が必要かについて事業者に知らせない。
3.産業医等は労働者との面接の結果、必要と判断した場合は労働者の同意を得て、事業者に時間外労働の制限や作業の転換などについて意見を述べる。
4.事業者は、労働時間の短縮等を行う場合には、産業医等の意見を労働者に明示し、了解を得るための話合いを行う。

国がメンタルヘルスの問題を本気で考えはじめたことは大変素晴らしいことですが、報告書の内容は目新しい内容でもなく、正直なところ効果があるかは疑問です。

「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」のメンバーですが、大学教授などのかなりの立場におられる方々が多いですが、果たしてどこまで現場や実務がわかっているのでしょうか・・・

現場を見ている産業医や保健師などの方々もメンバーになっていますが、大企業の担当者ばかり。

確かに、大企業のメンタルヘルス対策は先進的で素晴らしいものも多いです。
でも、大企業と同じようなことを中小企業で実施するのは困難です。

大企業は国の支援がなくても、それなりのメンタルヘルス対策を自分たちで実行できます。
支援が必要なのは中小企業のメンタルヘルス対策ではないでしょうか。
なにしろ、日本の全会社数に占める中小企業の割合は99.2%(総務庁、事業所・企業統計調査)なんですから。

上記の報告書のポイントでは「産業医等」が至る所で書かれていますが、そもそも50人未満の事業所は産業医の選任義務はないし、50人以上で産業医を選任していても、実際は職場巡回などしない名義だけ契約している産業医がほとんどでしょう。

報告書でも指摘していますが、そもそも、精神疾患が専門の産業医が少なのも問題です。

産業医の選任義務のない労働者50人未満の事業所は、無料で利用できる「地域産業保健センター」を利用することを推奨していますが、相談員の人数が不足しているという問題があるし、会社の実態が分からない相談員がどこまで効果的なメンタルヘルス対策ができるかという問題もあります。

じゃあ、どうしたらいいの?という話は、是非当事務所にご相談ください!

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事務所衛生基準規則

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律です。

工事現場や工場など、労災が起こりやすい職場ならともかく、デスクワーク中心の仕事だからこの法律は関係ないや・・・という方、それは間違えです!

当然ながら、どのような労働者に対しても、安全と衛生を確保し、快適な職場環境を形成しなくてはなりません。 

事務所の衛生基準は「事務所衛生基準規則」として定められています。
(事務所などの部分の延べ床面積が3,000㎡以上の大型ビルの場合は、ビル管法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)も適用されるので注意)

いろいろ細かく規定されているのですが、いくつかの項目を見てみましょう。

気積・・・1人あたり10㎥以上になっているか

1人あたりの気積の求め方は、{(床面から4m以下の高さにある室の容積)-(4m以下の高さにおいて、室にある設備の占める容積)}÷実際の室定員数、となります。

温度・・・10℃以下のときは暖房などの措置を行っているか、冷房実施のときは外気温との差を7℃以内とすることが適当
       
暖房はともかく、この夏の暑さだと外気温との差が7℃以上になっていることが多そうです。

室温・・・17℃以上28℃以下になるよう努めているか

クールビスで室温設定を28℃にしている事業所も多いと思います。ただ、室内の場所によっては、28℃を超えている場所もあるかもしれません。
やっぱり30℃を超えるような室内では、集中して仕事はできないのではないでしょうか。

相対湿度・・・40%以上70%以下になるよう努めているか

温度は測定していても、湿度はあまり気にしていないのではないでしょうか。
夏ですと湿度が高い場合は除湿をする、冬ですと加湿器などで適度な湿度にするように努める必要があります。

照度・・・精密な作業は300ルクス以上、普通の作業は150ルクス以上、粗な作業は70ルクス以上になっているか

デスクワークですと目の健康のためにも明るさは重要ですね。暗すぎても明るすぎてもいけません。

大掃除・・・6カ月以内ごとに1回定期に、統一的に行っているか

職場を清潔に保つということはとても重要です。でも大掃除は年末に1回行うという事業所が多いのではないでしょうか。

トイレ・・・男性用便所の大便器は60人以内ごとに1個以上、男性用小便所の箇所数は30人以内ごとに1個以上、女性用便所の便器の数は20人以内ごとに1個以上とすること

便器の数まで規定されているんです。あれ、便器の数は何個だったっけ・・・というあなた、今すぐトイレへGO!!

救急用具の備え付け

救急用具を備え付けていても、使用期限が過ぎていたり、使おうと思った時にその用具がなかった、ということはよくありますので、定期的にチェックしましょう。

事務所衛生基準規則の主なものを見ましたが、他にもいろいろ規定がありますので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

安衛法のご相談なら、さかば人事労務事務所へ!

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