東京都「契約社員に関する実態調査」結果について
東京都では、非正規労働者の実態を把握するため、定期的にパートタイマー・派遣労働者・契約社員に関する調査を行っています。
今回、契約社員に関する調査結果が発表されました。
(この調査での契約社員の定義:一日の所定労働時間及び一週の所定労働日数が正社員とほぼ同じで、期間の定めのある契約に基づき直接雇用されている者)
調査結果のポイント
●約5割の事業所で契約社員を導入
- 契約社員を導入している事業所の割合は46.6%となっている。
- 契約社員を活用している理由としては、「専門的・技術的な業務に対応するため」が52.7%と過半数を占めて最も多い。
●契約社員用の就業規則がある事業所は6割以上
- 契約社員に適用する就業規則について、「契約社員用の就業規則を適用する」の割合が前回(平成19年度)調査と比べて18.0ポイント増加し、64.1%となっている。
●契約社員の約6割は待遇などに正社員との格差を感じている
- 契約社員の58.6%が待遇などに正社員との格差を感じており、そのうちの68.6%はその格差を合理的ではないと思っている。特に不合理な点としては、「賃金・賞与」の割合が最も多く、「退職金」、「雇用の安定性」の順となっている。
- 正社員との仕事の責任の比較について、「正社員より軽い」の割合は事業所が47.6%と約半数を占めている。一方、契約社員は23.3%となっており、契約社員全体の4分の1以下となっている。
●他社で契約社員として働いたことがある者の約3割が雇止めの経験がある
- 他社で契約社員として働いた経験がある契約社員のうち、雇止めを通告されたことがある契約社員は28.6%となっている。
- 雇止めを行ったことがある事業所に雇止めの理由を聞いたところ、「労働者の能力不足」が50.0%で最も多い。
●雇止め法理(※)の条文化を期待する契約社員の割合は4割を超えている
(※)雇止め法理:契約更新を何度も繰り返し、期間の定めのない契約と実質的に異ならない等の場合は、解雇に関する規制が類推適用される。
- 「条文化すべき」の割合は、事業所では21.8%、契約社員では42.0%となっている。
正社員との仕事の責任の比較結果は興味深いものです。
約半数の会社が、契約社員は正社員より責任が軽いと考えていますが、契約社員は約2割しか正社員より責任が軽いと考えていないとのことです。
このギャップは、会社の人事労務担当者は認識しておくべき事項でしょう。
契約社員等の有期雇用契約者は、会社が思っている以上に不満を溜めている可能性があります。
その不満が労務トラブルに発展したり、トラブルまでには至らなくても、職場のモチベーション低下をもたらしたりするでしょう。
契約社員や派遣社員など、現在の職場は様々な雇用形態の従業員が混在するので、マネジメントは従来より難しくなっています。
立場や価値観が違う人達をまとめていくのは簡単なことではありませんが、このような職場が当たりまえとなった現在、会社の成長のためにも、様々な立場の従業員をとりまとめて、職場のモチベーションを上げていくマネジメントは必須です。
現在の難しいマネジメントができる管理職を育成できるか否か、それが今後の企業成長のカギとなるでしょう。
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