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2012年3月

4月から高額療養費の現物給付が外来診療にも適用されます

健康保険には、1ヶ月の医療費が一定の限度額を超えた場合に、超えた部分を払い戻す「高額療養費」制度があります。

高額療養費制度では、医療機関より請求された医療費の全額を支払ったうえで申請することにより、自己負担限度額を超えた金額が払い戻しされます。

例えば、自己負担限度額が8万円で、医療費が30万円かかった場合は、まず医療機関に30万円支払い、その後、高額療養費として22万円が払い戻されることになります。

しかし、一時的にせよ多額の費用を立て替えることになるため、経済的に大きな負担となります。

入院に関しては、この負担を軽減するため、医療機関に支払う1ヶ月の金額が自己負担限度額までとなる現物給付の制度があります。

上記の例だと、医療機関には8万円だけを支払えばよいことになります。
残りの22万円は、本人ではなく、健康保険から直接医療機関に支払われるということです。
(食事代や保険適用とならない費用(差額ベッド代など)は高額療養費の対象にならないので、別途支払いが必要です。)

入院のみだったこの制度が、4月1日から外来療養にも適用されます。

この制度を利用するためには、あらかじめ健康保険から「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に提示する必要があります。

なお、高額療養費は「同一の月で、同一の医療機関」で計算します。

複数の医療機関を受診した場合は、それぞれの医療機関ごとに高額療養費を計算をすることになります。

また、同一医療機関に併設された医科・歯科についても別々に高額療養費を計算することになりますので注意が必要です。
(例えば総合病院で内科と整形外科を受診した場合は、同じ病院内であっても別の医療機関とされ、別々に高額療養費を計算する)

また、入院と外来も別々に計算します。

上記のような、複数医療機関を受診した場合や入院と外来で高額の医療費がかかった場合は、「世帯合算」という制度があります。世帯合算については以前の記事をご参照ください。

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リハビリ勤務の注意点(マンガ労務相談 その9)

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 リハビリ勤務とは、心身の疾患による長期休職者が職場復帰する際に、職場環境や仕事に徐々に慣れていくために、作業内容、時間、職責などの一部を軽減する措置のことです。
            
  長期休職者が職場復帰する際に、リハビリ勤務を行う会社は多いですが、法的に必ず実施しなければならない措置ではありません。
            

  ではなぜ、リハビリ勤務を行うのでしょうか。

1.復帰後の体調が安定しない時期に無理をすると、病状が再発して再休職になる恐れもあり、そうなると会社にとっても本人にとっても不利益となる。

2.無理をさせて再発、再休職となると、会社の「安全配慮義務違反」を問われる可能性がある。

3.会社の業務に短時間勤務や軽作業でも十分な業務が存在し、また、人員配置の関係などから異動、職種変更が可能であり、本人がその業務を担当できる状態であり、その意欲もある場合は、段階的な職場復帰を拒否できない旨の判例がある(片山組事件)

 会社はリハビリ施設ではないので、職場復帰する際には、休職前と同じ仕事ができる状態になっていることが大前提です。
しかしながら、復帰直後からフルタイムで働くことは、なかなか厳しいことも事実。
 上記のリスクもあることから、リハビリ勤務を行う会社が多くなったと言えるでしょう。

 リハビリ勤務はメリット・デメリットがありますので、導入の際には慎重な検討が必要です。

●リハビリ勤務を休職中に実施するか、復帰後に実施するか

 リハビリ勤務の実施時期により、次のような違いがあります。

  休職中 復職後
リハビリ勤務の位置づけ 会社は「治療の一環」としての協力 勤務時間や職務内容を軽減しての勤務
安全配慮義務 あり あり
使用従属関係 なし あり
賃金債権 発生せず 発生する
業務の責任 発生せず 発生する
労災適用 適用されない可能性大 適用される

休職中に「試し出勤」という形でリハビリ勤務をすると、職場復帰の判断が行いやすく、職場復帰後の環境変化が少ないので再発のリスクが低減するというメリットがあります。
 しかし、労災適用、交通費、業務に対する報酬をどうるすのか、業務についての責任が曖昧になるというデメリットがあります。

 職場復帰後にリハビリ勤務をすると、上記のメリット・デメリットが逆になります。

 その他、傷病手当金の問題など、リハビリ勤務には様々なメリット・デメリットがあります。
 職場復帰、リハビリ勤務などについてお困りのことがございましたら、お気軽に弊所にご相談ください。

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現代型うつ病(新型うつ病) (マンガ労務相談 その8)

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 仕事の際にはうつになるが、私生活は元気で普段通り・・・このような一見、わがままとしか見えない「現代型うつ病」「新型うつ病」と呼ばれる新しタイプのうつ病が最近増加しています。

●従来型うつ病と現代型うつ病の違い

①うつ病に対する意識

従来型・・・自分はうつ病ではないという強い認識。
現代型・・・自分からうつ病であることを積極的に表明。

②治療に対する姿勢

従来型・・・最初は否定的。病気を受け入れた後は治療に協力的。
現代型・・・当初より診断に協力的。自分の意に反することについては、否定的となる。

③職場に対する感情

従来型・・・休んで申し訳ないという罪悪感、自責感。周囲への気遣い。
現代型・・・自分をうつ病にした会社への非難感情。自己の保身に終始する。

④職場復帰への意欲

従来型・・・病状が十分回復していなくても、焦燥感から職場復帰を希望。
現代型・・・職場復帰はできるだけ先延ばし、職場復帰の際に自ら条件を付ける。

 現代型うつ病は、従来通りのうつ病対応をしても、状況は改善しません。次のような対応が求められます。

従来型うつ病の支援方法・・・働き過ぎを防止し、職場におけるストレスが過度にならないような労務管理の支援など

現代型うつ病の支援方法・・・ストレス脆弱性や、職場適応力の低さなどを改善するための人材育成的支援など 

 現代型うつ病は、打たれ弱い未熟型人材が発症する可能性が高いとされています。

様々な社会的背景から、現代ではこうした人材が増加しています。
 メンタルヘルス対策として、打たれ強い成熟型人材に育てるための教育・支援も、これからは重要となるでしょう。

なお、メンタル疾患の症状は様々あり、一概に従来型、現代型と担当者が判断して、対応することは危険が伴います。

メンタル疾患者への対応は、医師・産業医や専門家の支援の下、行うようにしてください。

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職場のパワハラ対策(マンガ労務相談 その7)

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 平成24年1月、厚生労働省のワーキング・グループは、はじめて「パワーハラスメント」(パワハラ)の定義付けを行い、報告書をまとめました。

●パワハラとは?

 パワハラとは、「職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に業務の適切な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を悪化させたりする行為」とされています。

上司から部下への「いじめ」や「嫌がらせ」を指して使われる場合が多いですが、人間関係や専門知識などで優位な立場にある同僚や部下から受ける嫌がらせなども含まれるとされています。

パワハラに該当しうる行為(6分類)

今回の報告書では、職場のパワハラに該当しうる行為について、次の6つに分類しています。

(1)暴行・傷害などの「身体的な攻撃」

(2)侮辱や暴言などの「精神的な攻撃」

(3)無視などの「人間関係からの切り離し」

(4)遂行不可能なことへの強制や仕事の妨害などの「過大な要求」

(5)能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることなどの「過小な要求」

(6)私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」

ただ、職場におけるパワハラは「業務上の指導との線引きが難しい」との意見もあり、報告書では(4)~(6)については「業務の適正な範囲内」であれば本人が不満に感じたとしてもパワハラには該当しないとしています。

 「パワハラ」の定義が初めて示されたことは、パワハラ対策にとって一歩前進ですが、報告書にあるように、(4)から(6)については「業務上の指導との線引きが難しい」という問題は、相変わらず変わりません。

 上記の例のように、業務上の指導でも「パワハラだ!」と騒ぎ立てられることもあり、それを恐れて部下に適切な指導ができない管理職も増えているようです。

 セクハラの際にも述べましたが、ハラスメントは職場内のコミュニケーション不全の結果、起きることがよくあります。
 同じ発言でも、その発言者により、ハラスメントと感じたり、感じなかったりするものです。
 要するに、信頼関係のない人や、嫌いな人が言うことには反発を覚えるということです。

 もちろん、怒鳴りつけるなどの言動はよくありませんが、信頼関係があり、自分のために言ってくれているということが伝われば、多少の強い指導でもパワハラとは感じないのではないでしょうか。

 人間ですから好き嫌いの感情は無くすことはできないと思います。
しかし、その感情をそのまま出してしまうのは、人間として未熟だと言わざるを得ません。
 職場では「お互いに尊重する」というコミュニケーションが重要です。
 ダイバーシティ(多様性)が進む現代の職場では、この「お互いに尊重する」というコミュニケーションは特に大切なものでしょう。

●予防と解決のために積極的な取組みを

企業におけるパワハラの予防と解決には、組織トップによるメッセージや、就業規則での規定化、予防・解決のためのガイドラインの作成、教育研修の実施、企業内外における相談窓口の設置等の対策が求められます。

パワハラが企業にもたらす損失は甚大です。
 パワハラ被害を受けた従業員が、人格を傷つけられたこと等により心の健康を悪化させ、休職・退職に至ることや、周囲の人たちの意欲が低下し、職場全体の生産性に悪影響を及ぼすことなどの悪影響が生じます。

 企業は、パワハラ問題への取組みを積極的に進めることが求められます。
(ハラスメント対策は、メンタルヘルス対策にもなります!!)

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