遺族基礎年金・父子家庭に給付検討
5日の毎日新聞の記事によると、厚生労働省は、公的年金加入者が死亡した際に遺族に支給される遺族年金制度に関し、父子家庭への給付拡充を検討しており、早ければ今年の通常国会に法案を提出するとのことです。
ここで、よく混乱する遺族年金が受給できる遺族の要件を整理しておきましょう。
●遺族基礎年金
死亡当時、本人に生計を維持されてた次のいずれかの人に支給されます。
①子のいる妻
②子(ただし、生計を同じくする父がいる場合は支給停止)
(上記の子の要件・・・18歳の年度末までにあるか、20歳未満で障害等級1級・2級の障害状態にあり、婚姻していないこと)
●遺族厚生年金
死亡当時、本人に生計を維持されていた次の最も優先順位の高い人に支給されます。
1位 配偶者、子(夫の場合は55歳以上、子の場合は上記基礎年金の子の要件と同じ)
※妻と子の場合は妻に支給され、子は支給停止。夫と子の場合は子に支給され、夫は支給停止
2位 父母(55歳以上)
3位 孫(子の要件と同じ)
4位 祖父母(55歳以上)
見ていただいた通り、父子家庭は遺族基礎年金が支給されません。
これは、男性は多くの収入を得られるだろうから、年金を支給する必要はないという考えからです。
厚労省の調査(06年度)では、父子家庭の就労による平均年収は398万円で、母子家庭(171万円)の倍以上ですが、4割近くの父子家庭は年収300万円未満であり、生活に困窮する父子家庭も多いことから、年金の給付拡大が検討されることになりました。
年金に限った話ではないですが、近年、時代の流れに追いついていない制度が数多く見られます。
この問題は、「男性は十分な収入を得られる」という前提条件が変化していることを意味するでしょう。
従来の前提条件が通用しなくなり、制度疲労を起こしている現在の日本社会、見直しが必要な制度は今後ますます増えていくことでしょう。
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