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北東北の自殺率②

北東北(秋田、岩手、青森)の自殺率の高さの要因として、1.「寒い」「日照量不足」「降雪量の多さ」という気候的要因が、基礎的要因であると考えられています。(前回の記事参照

しかし、気候的要因だけでは、より厳しい気候である北海道より自殺率が高いことの説明ができません。

秋田大学の本橋豊教授によると、いくつかの要因が複合的に影響していると分析していますが、気候的要因の他に、次のような要因が考えられます。

2.地域的要因

北東北の自殺死亡率は、都市部より過疎化と高齢化が進んでいる農村部で高くなっており、高齢者の自殺が多いという特徴があります。

東北は米どころ、酒どころであり、アルコール依存症の多さなども考えられます。

3.家族的要因

多世代同居における家族関係の不調、高齢世帯が多く、相談できる相手もおらず孤独化しやすい、などが考えられます。

4.個人特性要因

東北の人はよく「我慢強い」と言われます。
しかし、それは悩みがあっても口に出せず、溜めこんでしまうことを意味します。
そのような個人的な気質、ストレス対処方法の問題が考えられます。

5.社会的要因

社会的支援の不足、医療資源の不足、地域の人間関係などが考えられます。

農村では異質な人間は「村八分」になることもありますが、村八分になることを恐れ、言いたいことも言えず、ストレスを溜めこんでしまうこともあると思います。
実際に村八分になり、孤独化して自殺に追い込まれることもあるかもしれません。

また、農村部にあるような、つながりが強すぎる人間関係は、お互い妬みや見栄を張るような関係になってしまうことがあります。

自分の弱みを見せまいとし、その結果ストレスを溜めこんでしまうことが考えられます。

ストレス、悩みを抱えても、適切な社会的支援、医療資源があれば救えることも多いですが、そのような支援体制が不足している、不足していないとしても、周知されていない、気軽に相談できる体制になっていないことが考えられます。

6.経済的要因

専業農家ですと、公的年金は基礎年金のみです。

体が動くうちは農業の収入もあるでしょうが、冬に農業ができない東北ではハンディがあります。
体が動かなくなれば、生活できるだけの収入が無くなることを意味します。

副業をするにしても、東北の農村部にはほとんど仕事がありません。

以上のような要因が複合的に影響して、北東北の自殺率を高めていると考えられています。

北東北ではこのような状況を改善すべく、10年ほど前から様々な自殺予防対策がなされており、自殺者数も減る傾向にありますが、自殺率ワースト上位から脱却するまでには至っていません。

気になるのが、これから寒さが厳しくなる東北の被災地です。

東北地方は上記のように自殺率を高める要因が揃っていますので、さらに震災の心労が加わるとなると、自殺死亡者が大幅に増加することが懸念されます。

最近では震災の報道も少なくなり、現地の実情があまり伝わってきませんが、やはり自殺者が増えているという報道もあります。

「頑張ろう!・・・」という掛け声が目立ちますが、震災から9ヶ月経過した現在では少々違和感があります。

頑張れる人は言わなくても頑張るし、うつ状態の人に「頑張れ!」はご法度です。

「頑張りたいけど、頑張れない人」への支援をどうするのか、対策は待ったなしです。

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