有期労働契約の在り方についての報告書(労働政策審議会)
厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会は26日、パートや契約社員など働く期間が決まった「有期契約労働者」の在り方についての報告書をまとめました。
同じ職場で5年を超えて働いた場合、期間を限定しない「無期雇用」に転換できる制度の導入を求めることなどが記載されています。
報告書の詳細を見てみましょう。
●有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応
有期契約労働者の雇用の安定や有期労働契約の濫用的利用の抑制のため、有期労働契約が、同一の労働者と使用者との間で5年(以下「利用可能期間」という。)を超えて反復更新された場合には、労働者の申し出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(転換に際し、期間の定めを除く労働条件は、別段の定めのない限り従前と同一とする。)を導入することが適当である。
この場合、同一の労働者と使用者との間で、一定期間をおいて有期労働契約が再度締結された場合、反復更新された有期労働契約の期間において、従前の有期労働契約と通算されないこととなる期間(以下「クーリング期間」という。)を定めることとし、クーリング期間は、6月(通算の対象となる有期労働契約の期間(複数ある場合にあっては、その合計)が1年未満の場合にあっては、その2分の1に相当する期間)とすることが適当である。
また、制度の運用にあたり、利用可能期間到達前の雇止めの抑制策の在り方については労使を含め十分に検討することが望まれる。
さらに、制度導入後に締結又は更新された有期労働契約から、利用可能期間の算定を行うこととすることが適当である。
上記のポイントをピックアップすると、
1、労働者の申し出によること
申し出が無い場合や、本人が希望しない場合は、有期労働契約を反復継続できるということになります。
2.期間の定めを除く労働条件は、別段の定めのない限り従前と同一とする
「期間の定めのない契約」というと、通常は正社員を想定しますが、必ずしも正社員と同じ労働条件にする必要はないということになります。
期間の定め以外は、従前と同じ労働条件で問題ないということになります。
3.期間の通算において、「クーリング期間」がある
例えば、1年契約を反復更新している場合、5回目の更新時には、本人の申し出があれば、期間の定めのない契約に転換することになります。
ただし、6カ月のクーリング期間を置けば、従来の期間はリセットされ、また1から有期労働契約の期間をカウントするということになります。
派遣労働のクーリング期間でも度々問題になっていますが、例えばクーリング期間を請負契約等にして、クーリング期間経過後に再雇用するというような、脱法的な利用についての対策はどうするのか、まだ報告書には記載されていません。
もちろん、上記の内容は報告書であり、決定事項ではありません。
この報告を受けて厚労省は、労働契約法改正案を来年の通常国会に提出する方針です。
上記の内容は大きく変わる可能性もありますが、人事労務に関しての大きな問題ですので、今後の動向には注意を払う必要があるでしょう。
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