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電離放射線障害防止規則

福島第一原発の事故は、事態の収束に長期間を要する見込みとなってきました。

放射線による体や環境への影響が大変心配されます。

原発事故により恐れられている放射線ですが、レントゲンやCTスキャンなど、放射線を日常で使用することもあります。

放射線を取り扱う業務に従事する労働者は、微量ながら放射線を浴びることになります。

その様な労働者を保護するために、労働安全衛生法に基づき電離放射線障害防止規則が定められています。

内容を少し見てみると、56条には健康診断についての規定があります。

第五十六条  事業者は、放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

一  被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、
    自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価
  二  白血球数及び白血球百分率の検査
  三  赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
  四  白内障に関する眼の検査
  五  皮膚の検査

放射線業務に従事する労働者には、半年毎に、特殊な健康診断を実施しなくてはなりません。

また、上記健康診断の結果は30年保存する必要があります。

第7条には緊急時の被曝限度について定められています。

第七条  事業者は、第四十二条第一項各号のいずれかに該当する事故が発生し、同項の区域が生じた場合における放射線による労働者の健康障害を防止するための応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行うときは、当該緊急作業に従事する男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については、第四条第一項及び第五条の規定にかかわらず、これらの規定に規定する限度を超えて放射線を受けさせることができる。

 前項の場合において、当該緊急作業に従事する間に受ける線量は、次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
  一  実効線量については、百ミリシーベルト
  二  眼の水晶体に受ける等価線量については、三百ミリシーベルト
  三  皮膚に受ける等価線量については、一シーベルト

福島第一原発事故は、まさにこの緊急時に当たりますが、今回の事故に限って被曝限度が100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに上げられています。

通常時における放射線業務従事者の被曝限度は第4~6条に定められています。

第四条  事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量が五年間につき百ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間につき五十ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
  事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第六条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、三月間につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

(放射線業務従事者の被ばく限度)
第五条  事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、眼の水晶体に受けるものについては一年間につき百五十ミリシーベルト、皮膚に受けるものについては一年間につき五百ミリシーベルトを、それぞれ超えないようにしなければならない。

第六条  事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(以下「妊娠中」という。)につき次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。
  一  内部被ばくによる実効線量については、一ミリシーベルト
  二  腹部表面に受ける等価線量については、二ミリシーベルト

つまり、被曝限度量は、通常の労働者>妊娠する可能性のある女性>妊婦ということになります。
(この規則は労働者が対象なので、当然子どもは含んでいませんが、乳児や小さい子どもの被曝限度量が低いことは言うまでもありません)

なお、この被曝限度は、上記の健康診断など厳格な管理をしている労働者が対象です。

一般公衆の被曝限度は、自然からの被曝を除き年間1ミリシーベルトとされています。

現在、各地で放射線量が測定され、数値が公表されていますが、注意しなくてはならないのは、公表されている数値は1時間当たりの放射線量です。

1時間当たりの数値は低いので「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」というのは、間違いではないと思います。

しかし、上記規則にもあるように、被曝限度量は3ヶ月とか1年間の積算被曝量で考えられています。

例えば1時間当たりの放射線量が1マイクロシーベルトで、1年間継続した場合は、

1マイクロシーベルト=0.001ミリシーベルト

0.001×24時間×365日=8.76ミリシーベルト

ということになります。

4月2日現在、福島市は2.53マイクロシーベルトです。

仮にこの数値が1年間続いた場合は、福島市は大幅に超えることになります。

福島県の数値を見ると、避難区域だけでなく、避難区域以外も心配ですが、放射線量は減少傾向にありますし、常に屋外にいる人も少ないと思いますので、現在のところは避難区域以外は大丈夫という判断なのでしょう。

また、年間1ミリシーベルトを超えたからといって、必ず健康被害が出るわけではないでしょう。

しかし、通常時より高い数値であることは間違いなく、事故処理も長期化しそうなので、今後は積算放射線量にも注意を払う必要があると思います。

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