平成21年度石綿(アスベスト)ばく露作業による労災認定等事業場の公表
平成21年度に石綿(アスベスト)ばく露作業による労災認定を受けた労働者が所属していた事業場について、名称、所在地、作業状況などの情報を取りまとめたものが、厚生労働省から公表されました。 こちら
アスベスト問題は聞いたことがあるけど、なぜ問題で、企業名まで公表しなければならないのか?と思っている方もいるかと思います。
●そもそもアスベストとは何か?
アスベストは漢字で「石綿」(せきめん、いしわた)と呼ばれ、自然界に存在する鉱物繊維です。
1970年から1990年にかけて大量に輸入され、その多くは建材として建築物に使用され、その他、科学プラント設備用のシール材、摩擦材等の工業製品等に使用されました。
現在はアスベスト製品の使用等は原則禁止されていますが、過去にアスベスト製品を使用した建築物の解体等が増加すると見込まれています。
●アスベストの有害性
アスベストは粉砕した時に縦に裂けて、次々に非常に細い繊維になります。
それを吸い込むことで、主に次のような健康障害が発生する恐れがあります。
○石綿肺
じん肺の一種で、アスベスト粉じんを吸入することで起こる肺線維症。
咳などの症状があり、重症化すると呼吸機能が低下することがあります。
○肺がん
喫煙はアスベストによる肺がん発症リスクを極めて高くすると言われています。
○悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜や、腹部臓器を囲む腹膜等にできる悪性の腫瘍。
○良性石綿胸水
アスベストばく露によって生じる胸膜炎。
○びまん性胸膜肥厚
臓側胸膜の病名で、壁側胸膜との癒着を伴う胸膜肥厚。
このようにアスベストは様々な健康障害を引き起こす可能性があります。
アスベストは怖い物質なんです。
ただ、アスベストが大量に使用されていた当時は、その危険性について一般的に認識されていませんでした。
なので、知らずにばく露している労働者が多いということが問題なんですね。
肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患は30年から40年もの潜伏期間の後に発症します。
まさにちょうど現在発症する可能性が高いということになります。
企業名等の公表は、
①アスベストばく露作業に従事した可能性があることの注意を喚起すること
②公表事業場の周辺住民が、自身の健康状態を改めて確認する契機とすること
③関係省庁、地方公共団体などがアスベスト健康被害対策に取り組む際の情報を提供すること、を目的として行われています。
過去にアスベストを取り扱ったことがある方は、早急に健康診断を受けるべきでしょう。
もしアスベストにより健康障害が生じた場合は、労災をはじめ、石綿救済法などにより救済される制度があります。
また、解体作業などでアスベストばく露の可能性がある事業所、過去にアスベストを扱っていた事業所は、健康診断等の法定のアスベスト対策が求められます。
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