« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »

2010年11月

平成21年度石綿(アスベスト)ばく露作業による労災認定等事業場の公表

平成21年度に石綿(アスベスト)ばく露作業による労災認定を受けた労働者が所属していた事業場について、名称、所在地、作業状況などの情報を取りまとめたものが、厚生労働省から公表されました。 こちら

アスベスト問題は聞いたことがあるけど、なぜ問題で、企業名まで公表しなければならないのか?と思っている方もいるかと思います。

●そもそもアスベストとは何か?

アスベストは漢字で「石綿」(せきめん、いしわた)と呼ばれ、自然界に存在する鉱物繊維です。

1970年から1990年にかけて大量に輸入され、その多くは建材として建築物に使用され、その他、科学プラント設備用のシール材、摩擦材等の工業製品等に使用されました。

現在はアスベスト製品の使用等は原則禁止されていますが、過去にアスベスト製品を使用した建築物の解体等が増加すると見込まれています。

●アスベストの有害性

アスベストは粉砕した時に縦に裂けて、次々に非常に細い繊維になります。
それを吸い込むことで、主に次のような健康障害が発生する恐れがあります。

○石綿肺
じん肺の一種で、アスベスト粉じんを吸入することで起こる肺線維症。
咳などの症状があり、重症化すると呼吸機能が低下することがあります。

○肺がん
喫煙はアスベストによる肺がん発症リスクを極めて高くすると言われています。

○悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜や、腹部臓器を囲む腹膜等にできる悪性の腫瘍。

○良性石綿胸水
アスベストばく露によって生じる胸膜炎。

○びまん性胸膜肥厚
臓側胸膜の病名で、壁側胸膜との癒着を伴う胸膜肥厚。

このようにアスベストは様々な健康障害を引き起こす可能性があります。
アスベストは怖い物質なんです。

ただ、アスベストが大量に使用されていた当時は、その危険性について一般的に認識されていませんでした。
なので、知らずにばく露している労働者が多いということが問題なんですね。

肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患は30年から40年もの潜伏期間の後に発症します。
まさにちょうど現在発症する可能性が高いということになります。


企業名等の公表は、
①アスベストばく露作業に従事した可能性があることの注意を喚起すること
②公表事業場の周辺住民が、自身の健康状態を改めて確認する契機とすること
③関係省庁、地方公共団体などがアスベスト健康被害対策に取り組む際の情報を提供すること、を目的として行われています。

過去にアスベストを取り扱ったことがある方は、早急に健康診断を受けるべきでしょう。
もしアスベストにより健康障害が生じた場合は、労災をはじめ、石綿救済法などにより救済される制度があります。

また、解体作業などでアスベストばく露の可能性がある事業所、過去にアスベストを扱っていた事業所は、健康診断等の法定のアスベスト対策が求められます。

さかば人事労務事務所ホームページはこちら

にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ
にほんブログ村

| | コメント (0)

整理解雇

会社更生手続き中のJALが、パイロットと客室乗務員を対象に、最大250名整理解雇すると発表がありました。

整理解雇とは、会社が経営不振などの経営上の理由により、人員削減を目的として行う解雇のことを言います。

要するにクビ切りですから、仕事を失った従業員は多大な影響を受けます。
なので、経営不振だから即整理解雇ということは認められず、「整理解雇の4要件」を満たす必要があるとされています。

「整理解雇の4要件」

①人員削減の必要性
②解雇回避義務
③被解雇者選定の相当性
④手続きの妥当性(労働組合や従業員に対する説明協議)

①は、必要性の程度をどのように考えるか問題になります。
以前は人員削減をしなければ倒産するという状況が必要とされていましたが、、最近では、高度の経営危機にあるという状況であれば必要性を認めるという裁判例が増えています。

②は希望退職、配転、役員報酬の減額など、解雇を回避する努力をしていたか、ということが問われます。

③は勤退、勤務成績、勤務態度、会社への貢献度など、解雇者を選定する基準が合理的であるか、ということが問われます。

④は解雇する従業員、または労働組合に対して、上記①から③の事項の説明など、なぜ整理解雇が必要なのか、誠意をもって説明・協議することが求められます。

「4要件」という言葉が使われてますが、最近の裁判例は「4要素説」が主流となっています。

つまり、4要件を満たさなければ整理解雇ができないということではなく、①から④は解雇権乱用を判断する際の要素であり、どれかの要素が欠けても、他の要素がこれを補えば解雇は有効であるという考えです。

法律論はさておき、整理解雇をする際、特に重要なのは④の「従業員への説明・協議」だと私は思っています。

トラブルになる企業は、やはり十分な説明をしていなかったり、陰湿な方法で解雇を迫るようなことを行っている場合が多いです。

会社も生き残りのために必死なのは仕方がないことですが、人間は感情のある動物、不利益を求めるなら、誠意をもって説明することは避けて通れません。

それと、説明し納得を求めると言っても、普段から労使関係が良好でないと、なかかな納得を得られないものです。
「会社の言っていることは信用できない」ということで、モメることになります。

しかし、従業員側も会社のせいにするばかりでなく、どうしてこのような状況になってしまったのか、自分たちにも甘えがなかったのか、しっかり考えなければならないと思います。

JALは長年労使関係が良好ではありませんでしたから、かなりモメることになるでしょう。

経営再建のために税金が投入されている以上、人員整理は仕方がないと思いますが、強引なリストラで安全性を損なうということだけは避けていただきたいものです。

さかば人事労務事務所ホームページはこちら

にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ
にほんブログ村

| | コメント (0)

年俸制の割増賃金

「年俸制だから、残業代の支払いは必要ないと思っていた」

労働基準監督署の立ち入り調査があり、未払い残業代を支払うよう是正勧告を受けた際によく聞く言葉です。

労働基準法で言う管理監督者や裁量労働制が適用される労働者であれば、そのように言うことも可能ではあるので(ただし、管理監督者でも深夜割増賃金は支払う必要があり、裁量労働制は深夜および休日割増賃金も必要)、このあたりをゴッチャにしてしまっている方が多いのかと思います。

管理監督者等ではない年俸制の労働者が時間外労働、休日労働、深夜労働を行った場合は、割増賃金を支払わなければなりません。

一般に賃金は所定労働時間労働した場合の対償として支払われるのが通例であり、この点は年俸制も同様だからです。

しかし、次のような通達があります。

「一般的には、年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上支払われる場合は労働基準法第37条に違反していないと解される」(平12・3・8 基収第78号)

分かりやすく言うと・・・

「年俸の中に割増賃金を含んでいると言いたいのなら、年俸のうち、いくらが通常の賃金で、いくらが割増賃金かを区別しておいてね。
その区別した割増賃金は、法定通り計算した割増賃金以上の金額にしてね。
そうすれば、年俸の中に割増賃金を含んでいると言っても、違法と言わないよ!」

ということになります。

ですから、就業規則等に年俸の内訳について規定することが必要になりますし、実際の残業時間(時間外労働)で計算した割増賃金が、就業規則等で規定した割増賃金額を上回る場合は、別途上回った分を支払わなければなりません。

サービス残業対策はこちら

にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ
にほんブログ村

| | コメント (0)

« 2010年10月 | トップページ | 2010年12月 »