« 割増賃金の計算方法 その2 | トップページ | 年俸制の割増賃金 »

派遣法違反の是正後に9割超の労働者の雇用が維持されているそうですが・・・

派遣労働に対する批判が大きくなっていることから、労働局は派遣元、派遣先に対しての取り締まりを強化しています。

その結果として、「労働者派遣法に基づく是正指導後の労働者の雇用状況」が厚労省から発表されました。

それによると、9割を超す労働者が解雇などの問題が起きることなく雇用維持されているそうです。

この数字だけ見ると、素晴らしい成果で、やっぱり派遣はケシカラン、厳しく取り締まれということになりそうですが、本当にそうなのでしょうか?

この調査の対象は、「派遣受入期間制限違反」および「偽装請負」のうち平成21年度に是正が完了したもの、また「専門26 業務派遣適正化プラン」に基づき平成22年3月から4月に指導したものです。

「派遣受入期間制限違反」で派遣先に直接雇用されたのは 6375人 (65.9%)、「専門26 業務派遣適正化プラン」では、175人( 21.2%)となっています。
(詳しくはこちら を参照ください。)

ただ、そのうち期限の定めのない雇用になったのは、、「派遣受入期間制限違反」で28人、、「専門26 業務派遣適正化プラン」では10人にすぎません。

つまり直接雇用になったほとんどの派遣労働者は有期契約労働者になっただけで、実体としてはその不安定な立場は変わっていないということです。

むしろ、直接雇用になったほうが弊害が大きいのではないでしょうか?

派遣と違い、今度はあらゆる仕事をしなくてはならないでしょうし、現在のような経済状況では契約期間満了時に雇い止めになる可能性も大きいでしょう。
派遣社員ならば、その際に別の派遣先を紹介してくれる可能性もありますが、雇い止めですと、今度は自分で再就職先を探さなくてはなりません。

また、直接雇用後の労働条件までは調べていないでようですが、派遣の際より時給などの労働条件が下がった労働者も多いのではないでしょうか。

何が言いたいかというと、「派遣はケシカラン、厳しく取り締まれ」と言うのはいいのですが、果たしてそれが派遣労働者にとっても良いことなのか、ということです。

もちろん、現在の派遣労働が様々な問題を抱えていることは事実ですし、違法派遣をしっかり取り締まるのは当然のことですが、ただ厳しくするだけでは、会社にとっても、労働者にとっても不利益になるような気がしてなりません。

派遣労働の見直しは、様々な視点から検討する必要があるのではないでしょうか。

それと・・・

この発表ですが、世間の役人批判に対応するために、「私たちはちゃんと取り締まってますよ。そして成果も出ていますよ。」というアピールにしか見えないのは私だけでしょうか(笑)

確かに9割超が雇用維持されていることは事実ですが、上記で述べたように、それが皆にとって良い事なのかは別問題です。

また、是正対象となった企業はどのような企業なのでしょうか。

大手企業が是正指導を受ければ、いろいろ批判を受けたくないので、それなりの是正をするでしょう。
その様な企業ばかりが調査対象になっているのなら、9割超の労働者が雇用維持されていても当然と言えるかもしれません。

データの数字は調査対象の違いで大きく変わるので、より詳細なデータも公表して欲しいものです。

にほんブログ村 士業ブログ 社会保険労務士(社労士)へ
にほんブログ村

|

« 割増賃金の計算方法 その2 | トップページ | 年俸制の割増賃金 »

コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 割増賃金の計算方法 その2 | トップページ | 年俸制の割増賃金 »