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2010年10月

派遣法違反の是正後に9割超の労働者の雇用が維持されているそうですが・・・

派遣労働に対する批判が大きくなっていることから、労働局は派遣元、派遣先に対しての取り締まりを強化しています。

その結果として、「労働者派遣法に基づく是正指導後の労働者の雇用状況」が厚労省から発表されました。

それによると、9割を超す労働者が解雇などの問題が起きることなく雇用維持されているそうです。

この数字だけ見ると、素晴らしい成果で、やっぱり派遣はケシカラン、厳しく取り締まれということになりそうですが、本当にそうなのでしょうか?

この調査の対象は、「派遣受入期間制限違反」および「偽装請負」のうち平成21年度に是正が完了したもの、また「専門26 業務派遣適正化プラン」に基づき平成22年3月から4月に指導したものです。

「派遣受入期間制限違反」で派遣先に直接雇用されたのは 6375人 (65.9%)、「専門26 業務派遣適正化プラン」では、175人( 21.2%)となっています。
(詳しくはこちら を参照ください。)

ただ、そのうち期限の定めのない雇用になったのは、、「派遣受入期間制限違反」で28人、、「専門26 業務派遣適正化プラン」では10人にすぎません。

つまり直接雇用になったほとんどの派遣労働者は有期契約労働者になっただけで、実体としてはその不安定な立場は変わっていないということです。

むしろ、直接雇用になったほうが弊害が大きいのではないでしょうか?

派遣と違い、今度はあらゆる仕事をしなくてはならないでしょうし、現在のような経済状況では契約期間満了時に雇い止めになる可能性も大きいでしょう。
派遣社員ならば、その際に別の派遣先を紹介してくれる可能性もありますが、雇い止めですと、今度は自分で再就職先を探さなくてはなりません。

また、直接雇用後の労働条件までは調べていないでようですが、派遣の際より時給などの労働条件が下がった労働者も多いのではないでしょうか。

何が言いたいかというと、「派遣はケシカラン、厳しく取り締まれ」と言うのはいいのですが、果たしてそれが派遣労働者にとっても良いことなのか、ということです。

もちろん、現在の派遣労働が様々な問題を抱えていることは事実ですし、違法派遣をしっかり取り締まるのは当然のことですが、ただ厳しくするだけでは、会社にとっても、労働者にとっても不利益になるような気がしてなりません。

派遣労働の見直しは、様々な視点から検討する必要があるのではないでしょうか。

それと・・・

この発表ですが、世間の役人批判に対応するために、「私たちはちゃんと取り締まってますよ。そして成果も出ていますよ。」というアピールにしか見えないのは私だけでしょうか(笑)

確かに9割超が雇用維持されていることは事実ですが、上記で述べたように、それが皆にとって良い事なのかは別問題です。

また、是正対象となった企業はどのような企業なのでしょうか。

大手企業が是正指導を受ければ、いろいろ批判を受けたくないので、それなりの是正をするでしょう。
その様な企業ばかりが調査対象になっているのなら、9割超の労働者が雇用維持されていても当然と言えるかもしれません。

データの数字は調査対象の違いで大きく変わるので、より詳細なデータも公表して欲しいものです。

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割増賃金の計算方法 その2

「割増賃金の計算方法 その1」の続きです。

②割増賃金の計算方法

割増賃金=1時間あたりの賃金額×時間外(休日・深夜)労働時間数×割増率

割増率

ア.法定労働時間(1日8時間、1週40時間〔特例措置事業場は1週44時間〕)を超えた場合 ※2割5分以上

イ.深夜(午後10時から午前5時まで)に労働させた場合 2割5分以上

ウ.法定休日(労基法第35条の休日)に労働させた場合 3割5分以上

エ.法定時間外労働が深夜に及んだ場合
時間外労働(2割5分以上)+深夜労働(2割5分以上)=5割以上

オ.法定休日労働が深夜に及んだ場合
休日労働(3割5分以上)+深夜労働(2割5分以上) =6割以上

※月60時間を超える法定時間外労働は5割以上(中小企業は猶予)

●1時間あたりの賃金額の出し方
(割増賃金の算定基礎に含まない手当などに注意。その1の記事参照)

(1)時間給
時間によって定められた賃金については、その金額

(2)日給
日によって定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なるときは、1週間における1日の平均所定労働時間)で除した金額

(3)週給
週によって定められた賃金については、その金額を週の所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異なるときは、4週間における1週の平均所定労働時間)で除した金額

(4)月給
月によって定められた賃金については、その金額を月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なるときは、1年間における1カ月の平均所定労働時間)で除した金額

(5)旬給等
月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

(6)請負給、歩合給、出来高払い給など
出来高払い制、その他請負制の賃金は、その賃金算定期間において出来高払い制その他請負制によって計算された金額の総額を、算定期間における総労働時間数で除した金額

※労働者の賃金が上記の2つ以上の賃金により構成されている場合には、それぞれの部分について、それぞれの方法で算出した金額の合計となります。

計算例

基本給170,000円、歩合給100,000円の労働者が月に200時間働いた。そのうち、30時間は時間外労働だった場合。

割増賃金=[(170,000円÷170時間)×30時間×1.25]+[(100,000÷200時間)×30時間×※0.25]=41,250円

※歩合給の割増率が1.25ではなく0.25なのは、歩合給の場合には、時間を延長して働いたことによって成果が上がっている、という面があるので、時間単価に対応する部分(1.25の1.0の部分)は、すでに賃金総額の中に含まれているとされるためです。(平6.3.31基発181など)

さかば人事労務事務所ホームページはこちら

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平成21年度 賃金不払残業(サービス残業)是正の結果まとめ

サービス残業で、平成21年に全国の労働基準監督署が是正指導した事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案の状況が発表されました。

●是正企業数            

1,221企業 (前年度比 332企業の減)

●支払われた割増賃金合計額 

116億298万円 (同 80億1,053万円の減)

● 対象労働者数          

11万1,889人 (同 6万8,841人の減)

● 割増賃金の平均額は1企業当たり950万円、労働者1人当たり 10万円

● 1,000万円以上支払ったのは162企業で全体の13.3%、支払われた割増賃金の合計額は85億1,174万円で全体の73.4%を占める

● 1企業での最高支払額は「12億4,206万円」(飲食店)、次いで「11億561万円」(銀行・信託業)、「5億3,913万円」(病院)の順

是正企業数、支払われた割増賃金合計額、対象労働者数とも前年より減少しています。これは、サービス残業に対する企業の意識向上もあるかと思いますが、それよりも、不景気で残業自体が減っていることが大きいのではないでしょうか。

重要なことは、1企業での最高支払額が12億4,206万円、1,000万円以上支払ったの企業が全体の13.3%あるということです。

場合によっては、残業代の支払いで会社が潰れてしまうこともあるかもしれません。

サービス残業の放置は、経営上の大きなリスクになると言っても過言ではないでしょう。

サービス残業について、ホームページで対応策の例をご紹介していますので、よろしければご参照ください。

ホームページはこちら

   

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割増賃金の計算方法 その1

質問を受けることが多い、割増賃金の計算方法。

給与計算をする際の、また社労士試験にもよく出題される基本的な事項ですが、計算をしている時に「あれっ、どうだったっけ?」ということがよくあるものです。

今回は割増賃金の計算方法をもう一度確認しておきましょう。

①割増賃金の算定基礎となる賃金の範囲

割増賃金の算定基礎となる賃金は「通常の労働時間または労働日の賃金」となります。
ただし、次の賃金は割増賃金の基礎となる賃金に算入しません。

(1)家族手当
扶養家族数、またはこれを基礎とする家族手当額を基準として算出する手当

(2)通勤手当
労働者の通勤距離または通勤に要する実際にかかった費用に応じて算出される手当

(3)別居手当

(4)子女教育手当

(5)臨時に支払われれる賃金
臨時的、突発的事由に基づいて支払われるもの、結婚手当など支給要件はあらかじめ確定しているが、支給事由の発生が不確実であり、かつ非常に稀に発生するもの

(6)1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
賞与など

(7)住宅手当
割増賃金の算定基礎から除外される住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当のことをいいます。

●除外される住宅手当の例

・家賃の一定割合、ローン月額の一定割合を支給するというような、住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給する住宅手当

・家賃月額5万円~10万円の者には1万円、家賃月額10万円以上の者には2万円というような、住宅に要する費用を段階的に区分し、費用が増えるにしたがって額を多くして支給するような住宅手当

●除外されない住宅手当の例

・賃貸居住者には1万円、持家居住者には2万円というような、住宅の形態ごとに一律定額で支給される住宅手当

・扶養家族がある者は2万円、扶養家族がない者は1万円というような、住宅以外の要素に応じて定率または定額で支給される住宅手当

これらの手当が算定基礎に含まれるか否かは、その名称によってではなく、実質的内容によって判断されます。

たとえば、その名称が生活手当となっていても、それが扶養家族数を基礎として算定した手当であれば、その手当は家族手当として取り扱われます。
逆に、名称が家族手当となっていても、扶養家族数に関係なく一律に支給される手当であれば、その手当は割増賃金の算定基礎から除外できません。

その2につづく

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職場の喫煙対策

10月から大幅に値上げされたたばこ。
これを機に禁煙される方も多いのではないでしょうか。

たばこは自分の健康だけでなく、副流煙による「受動喫煙」で他人の健康も脅かします。

9月28日の厚労省研究班の発表によると、受動喫煙により国内で少なくとも年間約6800人が死亡しており、そのうち職場での受動喫煙が原因で死亡した人は約3600人だそうです。

受動喫煙との因果関係がはっきりしている肺がんと虚血性心疾患の死者だけを対象にしており、実際にはもっと多い可能性があるとのこと。

ですから、従業員の健康を守るためにも、職場での喫煙対策が求められます。

職場での喫煙対策は「職場における喫煙対策のためのガイドライン」というのがあるのをご存知でしょうか。

ガイドラインのポイントは以下の通りです

○経営首脳者の指導の下、喫煙対策を推進し、喫煙対策の担当部署・担当者を決め、喫煙対策委員会の運営や喫煙対策に関する相談、苦情処理などの事務を掌握させる

○独立した喫煙室の設置を推奨 

○たばこの煙を屋外に排気する方式の喫煙対策を推奨 

○空気清浄機はガス状成分の除去が不十分であるため、使用する際は換気に配慮 非喫煙場所から喫煙場所へ一定の空気の流れ(0.2/s)を確保(非喫煙場所にたばこの煙やにおいが漏れないようにするため)

○事業者は、管理者や労働者に対し、喫煙に関する教育や相談を行う 

○妊婦及び呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者へ配慮を行う 

○喫煙対策の周知(禁煙場所の表示、ポスターの掲示等)を行う 

○受動喫煙による健康への影響、喫煙対策事例等の情報を収集し、提供する

現在はさすがに分煙もされていないという職場は少なくなってきましたが、職場内で喫煙できる職場も依然としてあります。

職場の喫煙対策は事業主のリーダシップが大事で、未だに職場内で喫煙できる職場は、事業主が愛煙家である場合が多いですね(笑)

愛煙家の社長さんは耳が痛い話かと思いますが、職場での受動喫煙が原因で健康を損なったとなれば、企業の安全配慮義務違反をを問われ、多額の賠償金を支払うことになるかもしれません。

まだ喫煙対策を何もしていない職場は、たとえ喫煙者が多い職場であっても、そろそろ覚悟を決めて取り組むべき問題でしょう。
何らかの喫煙対策をしている職場でも、ガイドラインを参考に、自社の喫煙対策が適切なのかチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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